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▼ カルフォルニアドリーミング(原題:THE CALIFORNIA DREAMING)
監 督 :ジョン・ハンコック
出 演 :グリニス・オコナー、タニア・ロバーツ
ジャンル:ドラマ(青春)
1978年 アメリカ

注)以下、ネタバレだらけです!
【あらすじと感想】
この映画をご存じでしょうか。
私は大昔、テレビで放映されたのを見たのですが、多分これです。(ちょっとだけいい加減です)
シカゴからカリフォルニアに流れてきた若者が、徐々に馴染んでいく「ひと夏の物語」で、割とジミなストーリーで、ラストもハッピーではなかったので、あまり好きな作品ではないはずです。
なのに、ほんの数秒(?)くらいのシーンのおかげで忘れられない映画になってしまったのです。
若者のガールフレンドの父親がビーチバレーをしています。もちろんカリフォルニアの青空の下のビーチです。
オリンピックに出たことがあると言っている彼は、久々に、観客がざわめくほどの好プレーを連発していました。
そんな時、試合中なのに、ふと彼は遠くに視線を送るのです。
一瞬カメラは、彼の視線の先 = 重なって打ち寄せ波頭の砕け始めている大波を映し出します。
そして、 彼はその場に崩れ落ちます!
心臓麻痺でした!
この、砂浜から沖を眺めた、おそらく彼の人生の最後になったであろう風景が私の脳に焼き付いてしまったのです。
周りにいた妻や娘や親しい人々ではなく、なぜ沖の波を見たのか、いやそんな疑問はあとで考えたことで、直後のアッと思った衝撃と共に記憶にくっきりと貼り付いてしまったようなのです。
実は、この映画は最初に書いたように格別好きな訳でもなく、ストーリーの記憶も断片的で,暗いエンディングで、上の波のシーンをWEBで探したときに、ああ!ママス&パパスの曲が使われていたのか、などと改めて知りました。(映画に使われているのは、別のグループが演奏している)
波の映像そのものもはっきり覚えている訳ではありません、が、やっぱり覚えているのです!
何度も言うけど、全然気に入った映画じゃないんですけどね ~ !
全体が気に入って何度でも見たくなる映画と、ほんの短いシーンが記憶に残っているだけの映画があるものです。
私は漠然と、たまたま私の何かを刺激して記憶に残るような良いシーンが入っている事もあるのだ、と思っていましたが、考えてみれば映画全体が創造物である以上、そのシーンは意図して創られた光景であり、偶然なはずはありません。
例え一瞬でも忘れられなくなるような光景を見せてくれたのなら、その映画は私にとっては「名作」の棚にしまっておくべきものなのでしょう。
2018.09. ................ 傑作映画館の目次ページへ